2012/01/17

湖畔 written by Ryosuke NAGAOKA

野良の記憶にあるはずない
遠い祖先への想いが
不意に射し込んだ
声が彷徨い 人が凪ぎ
恨み辛みも眠りにつきそうな頃
船を出そう 鏡の上に
ほらご覧 水面には割とお似合いの二人
そうでしょ
流し目の月が笑う

鏡の上で何をしよう
何も無いさ こんなことってあるかい?
はぐれた木の葉が右の肩をそっとかすめた
そして また目が合った
船を出そう野良を起こさぬように
ほらご覧 頭上には二人をみつめる満月
そうでしょ
野良が目を開けすぐ閉じた

笑った声さえも要らないときがある
濁ったときでさえも必要な事がある

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